防音シートを選ぶときは、厚さや「防音○dB」という一つの数字だけで決めないでください。まず、どの作業の音を、どこへ届く前に抑えたいかを整理します。次に候補品の同じ周波数・測定条件での音響透過損失を見比べ、最後に1枚の重さ、覆う寸法、端部と固定方法が現場に合うかを確かめます。カタログの試験値を、そのまま近隣地点での低減量として引き算することはできません。
当社の建築用シートの選び方では、防炎・防音などの用途別に確認する仕様を説明しています。ここでは足場まわりなどに設置する防音シートについて、資料と現場条件をどう照合するかを具体的に説明します。
音の発生場所と、抑えたい場所を先に決める
「現場がうるさい」という相談でも、切断作業の近くを囲うのか、足場の外側から周辺へ伝わる音を抑えたいのかで、覆う範囲が変わります。音源の位置、作業時間、気になる場所、設置できる面を図面や写真で示してください。現場から周波数帯や騒音値、提出資料の指定が出ているなら、それを先に確認します。音の高さを耳で推測して、特定の周波数だけの性能値を選ぶことは避けます。
「吸音」と「遮音」も分けて読みます。吸音率は、材料へ入った音のうち反射して戻らない割合を表す指標です[3]。一方、音響透過損失は材料を通り抜ける音に関わる遮音性能の指標で、仮設工業会の防音シート認定基準にも使われます[1]。外へ伝わる音を抑えるためのシートを比べるなら、カタログに「吸音」と書いてあるだけで同じ性能とみなさず、求める指標と試験資料を確認します。
性能表は周波数と測定条件を揃えて読む
音響透過損失の単位はdBでも、その値は周波数によって変わります。仮設工業会の認定基準では、防音シートに500Hzで8.0dB以上、1000Hzで11.0dB以上を求め、実験室での測定結果で確認します[1]。「11dB」という数字だけを取り出すと、どの周波数で、どんな測定に基づくかが抜けます。候補品の品番、周波数、試験方法、測定値か基準値かを同じ表に並べましょう。
比較の一例として、明治商工は自社の通常タイプと軽量タイプについて、第三者機関による1/3オクターブバンド測定値を掲載しています。500Hzでは通常10dB・軽量8.3dB、1000Hzでは通常15.3dB・軽量12.3dBです[4]。以下は、この掲載値を使って同じ周波数の性能を横並びにした比較例です。購入する際は、候補品番の試験資料で照合してください。
| 比較する項目 | 通常タイプの掲載例 | 軽量タイプの掲載例 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 500Hzの音響透過損失 | 10dB | 8.3dB | 同じ周波数の試験値を比較 |
| 1000Hzの音響透過損失 | 15.3dB | 12.3dB | 500Hzの値と混ぜない |
| 1.8×3.4mの1枚質量 | 10.5kg | 7.3kg | 寸法を揃えて搬入・取付を確認 |
出典は明治商工の掲載資料[4]です。この差を「現場の外側で何dB下がる」とは読めません。日本建設業連合会は、端部の隙間処理の有無で現場の遮音性能が変わった測定事例を示しています[2]。音源や受け手の位置、ほかの伝搬経路もあるため、必要な現場効果や規制への適合判断は、施工側の指定や測定・検討に従います。
図は比較欄の模式図です。数値は候補品の個別資料から転記します。 図を拡大して見る
重さ・寸法・端部を設置方法と一緒に比べる
軽いシートは運びやすくても、重量だけで採用は決まりません。先ほどの明治商工の例では同じ呼び寸法で1枚の質量が異なり、周波数別の透過損失も異なります[4]。候補品ごとに製品寸法と質量を確認し、必要枚数、搬入経路、取付作業、足場や支持材の条件を施工担当者と照合します。厚さを比べるときも、厚いほど現場効果が何dB増すと一律には言えません。
隙間を残さず覆えるかも重要です。仮設工業会の認定基準は端部にフラップ等を設ける構造を定め、使用基準はシート相互・支持材への取付と、出隅・入隅を含めて隙間を作らない取付を示しています[1]。日本建設業連合会の資料も、継ぎ目の処理で遮音性能が変わり得ると指摘しています[2]。シート地の試験値だけ良くても、継ぎ目や開口が残る計画なら期待どおりの効果にならない可能性があります。
図面では、覆う高さと幅に加え、ハトメ位置、固定点、継ぎ目、出入口や設備貫通部を確認します。表裏やフラップの向きについて品番の取付指示があれば、その指定に従ってください。風への対応、支持材や緊結材の適否、施工方法は現場の設計・施工担当者が判断する事項です。
設置面の確認箇所を示した模式図です。支持材の設計や取付手順を指示する図ではありません。 図を拡大して見る
認定・防炎表示と、見積もりに必要な情報
現場に仮設工業会認定品の指定がある場合は、候補品番の認定表示と資料を照合します。認定の有無だけで、製品のすべての周波数の値や個別現場の低減量は分かりません。また、防音性能と防炎表示は別の確認項目です。日本防炎協会は、工事用シートを含む防炎物品の表示方法を案内しています[5]。現場から求められた表示と提出資料の名称を、候補品の資料で確かめてください。
当社の防音シートの商品案内をご覧のうえ、作業内容と設置場所、必要寸法、現場で指定された性能や表示をお知らせください。候補品番の透過損失、認定、防炎表示、質量、販売単位を確認してご案内します。
お問い合わせには、①作業と気になる音・場所、②現場の指定書と必要な性能資料、③設置範囲と固定位置、④扱える重さ、⑤必要枚数と希望時期をお知らせください。図面や現場写真・仕様書があればフォームに添付できます。候補が決まっていない段階でも、分かる条件から品番資料と見積もりを照合します。
参考資料・出典
- 仮設工業会「防音シートの認定基準・使用基準」(2026年9月25日確認)。周波数別の音響透過損失、端部構造、取付条件を参照。
- 日本建設業連合会「工事用防音シートの遮音性能」(2026年9月25日確認)。端部・継ぎ目と現場測定事例を参照。
- 日本建設業連合会「吸音率(音響技術用語)」(2026年9月25日確認)。吸音率の定義を参照。
- 明治商工「軽量防音シート」(2026年9月25日確認)。同社通常・軽量タイプの試験値と1枚質量を比較例として参照。
- 日本防炎協会「防炎表示と防炎ラベル」(2026年9月25日確認)。工事用シートの防炎表示を参照。






