古いトラックシートを製作先に渡すと、形や加工を伝える手がかりになります。ただし、長く使った現物には端の変形や補修があり、現物の外寸をそのまま新しい完成寸法にすると、使いにくい箇所まで再現するおそれがあります。前回の確定図面があれば照合し、なければ寸法を「現物の参考値」として残します。そのうえで車両と普段の荷姿を測り直し、同じにする箇所と変える箇所を製作先へ示します。
以下の車両T-18、シート寸法、状態は説明用の架空例です。特定の車種や当社商品の仕様ではありません。
古いシートの短い辺・長い辺を、元の寸法と決めつけない
トラックシート専門店の虎繊は、同社が扱う塩ビ樹脂をコーティングしたシートでは長期使用に伴う伸び・縮みが起こり得ると説明しています。[1] どの生地でも同じ変化をする、現物の差が必ず縮みや伸びによるという意味ではありません。測ったときの張り方、周囲の補修、折り返し、元の形も違いの原因になり得ます。
例えばT-18の前回承認図面には、左右の長辺がいずれも3,600mmとあります。使用中のシートを平らに広げて同じ起点から測ると、左辺3,545mm、右辺3,620mmでした。図面との差は左が55mm短く、右が20mm長い計算です。しかし、「左だけ55mm縮んだ」「右だけ20mm伸びた」とは判定しません。左後ろには補修跡もあります。この二つの実測値をそのまま新しい左右辺の指定値にしないのが出発点です。
| T-18の記録 | 左の長辺 | 右の長辺 | 数値の扱い |
|---|---|---|---|
| 前回承認図面の完成寸法 | 3,600mm | 3,600mm | 前回の確定仕様として版を確認 |
| 使用中シートの平置き実測 | 3,545mm | 3,620mm | 現物の状態を示す参考値 |
| 図面との差 | 55mm短い | 20mm長い | 原因と今回の必要寸法は未確定 |
前回図面がないときは「もともと3,600mmだった」と推測で埋めず、図面欄を未確認にします。左右差と補修箇所を写真に残し、車両で必要な形を次に確かめます。
図を拡大して見る。T-18の数値は架空。差分をそのまま新しい裁断寸法にしません。
現物とは別に、今の車両と荷姿を測り直す
武田商会のトラックシート採寸案内は、車両の外寸、幅外寸、あおり高、鳥居高・周囲・天幅を分けて測る例を示しています。[2] T-18でも車両の前後と左右を写真で明示し、荷台、鳥居、現在のフック位置、普段の積み荷の高さと形を記録します。採寸値には測った位置を添え、製作先が指定する測り方と照合します。
架空の再測定では、T-18の荷台外寸は長さ3,100mm、幅1,870mmでした。この荷台寸法は完成シートの縦3,600mmと別の値です。シートが鳥居と荷の上を通り、どこまで垂れてどこに留まるかを、現車といつもの荷姿で確認します。当社のトラックシート商品ページでも、荷台の寸法と、平らに広げた完成シートの外端から外端の寸法を分けています。
| 測る対象 | T-18の架空の記録 | 再製作での使い道 |
|---|---|---|
| 現在の車両 | 外寸長3,100mm、幅1,870mm | 荷台の基準。完成シート寸法へ転記しない |
| 普段の荷姿・掛け方 | 荷の高さと形、前側の掛け始めを写真に記録 | 覆いたい後端・左右と留める位置を決める |
| 旧シートの平置き実測 | 左3,545mm、右3,620mm、左後ろに補修跡 | 形と傷みを伝える参考。新しい完成寸法は別に確認 |
車両側の架装やフックが前回注文時と変わっていれば、承認図面どおりに作っても現在の車両に合うとは限りません。古いシートを掛けた全体写真と、布端・ハトメ・車体側固定点を別々に写した写真を用意します。
再現する箇所と、変える箇所を図面に分けて書く
T-18では、前側の形と中央のセンター目印は現場で使いやすいため、再現したい箇所とします。一方、左後ろの補修済みの折り返しとハトメ位置は、現物を写し取るのではなく、現車の固定点から決め直したい箇所です。右辺が現物で20mm長いことも、新しいシートを右だけ長くする理由にはなりません。
ヤマゾエは自社の修理・改造例として、シートの拡大・縮小やアイレット位置の変更などを挙げています。[3] 古い現物には製作当初から変更された箇所がある可能性があるため、補修や後加工の跡を「元の仕様」と混同しない確認が必要です。同社の対応範囲を当社の取扱可否として示すものではありません。
| 箇所 | 今回の指示 | 確認の根拠・保留点 |
|---|---|---|
| 前側の形・センター目印 | 再現希望 | 旧品の写真と現車での使い方を確認 |
| 左後ろの布端・ハトメ | 現車に合わせて見直し | 旧品は補修済み。固定点を測り、希望位置を図面で指定 |
| 完成シートの左右長辺 | 新しい寸法を確認 | 前回図面3,600mm、旧品3,545/3,620mmだけでは確定できない |
| 生地・補強・加工 | 回答待ち | 旧品の品番や製作時の仕様が分かるか確認 |
図を拡大して見る。図は相談票の例で、製作図面や固定方法の指示ではありません。
見本の写真と採寸表を、向きをそろえて渡す
古いシートを送るか持ち込む前に、前・後、表・裏、左・右を写真と採寸表で統一します。全体、四隅、補修跡、ハトメと補強、車両に掛けた状態を撮り、それぞれ同じ呼び名で示します。前回の注文番号と承認済み図面があるなら版まで添え、現物実測と混ぜません。図面がない場合は「現物のみ、前回完成寸法は不明」と明記します。
製作先へは、前側の再現希望と左後ろの見直し希望を別々に伝えます。新しい完成寸法、ハトメ位置、生地と加工について図面や回答を受け取り、どの数値が確定し、どれが現物参考かを照合してから注文します。現物の送付・返却、採寸や図面作成の可否、費用・予定納期は案件ごとに確認してください。
古い見本と現車の情報を添えて相談する
当社のトラックシート商品ページでは、完成寸法、生地、ハトメ・補強などの相談項目を確認できます。お問い合わせには、車両番号、現車と普段の荷姿の写真・採寸、古いシートの全体と補修箇所の写真、前回の注文資料、再現したい箇所と変更したい箇所、必要枚数と希望時期を添えてください。
T-18なら「旧品の左3,545mm・右3,620mmは実測参考、前回承認図面の左右3,600mmは旧仕様、今の荷台外寸は3,100×1,870mm、左後ろの固定位置は見直し希望」と分けて伝えます。新しい完成寸法と加工は、現車の条件と製作先の確認を経て確定します。
参考資料・出典
- 虎繊「トラックシート Q&A」(2026年9月26日確認)。同社取扱いの塩ビコーティングシートの長期使用による伸び・縮みについて参照。すべての生地やT-18の変化を示すものではない。
- 武田商会「トラックシート」(2026年9月26日確認)。同社の車両採寸項目とオーダー加工例を参照。
- ヤマゾエ「トラックシート製造加工」(2026年9月26日確認)。同社の修理・改造で寸法やアイレット位置を変える例を参照。






