シートやフレコンのカタログと手元の仕様書に別の寸法や加工が書かれていたら、どちらかを見た目で選んで発注しないでください。同じ品番・同じ改訂版を比べているか、標準品の紹介値と別注品の指定値が混ざっていないかを分け、発注先に今回の注文へ適用する資料を文書で確認することが先です。
仕入先を替えるときの同等品比較は別の判断です。本稿は、一つの注文でカタログと仕様書が食い違ったときの資料確定に絞ります。以下の「標準S-30」「別注C-17」、寸法、図面番号はすべて説明用の架空例で、当社や出典先の製品仕様ではありません。
まず標準品か別注品かを分ける
カタログは複数の標準品や選べる加工を一覧にする資料です。一方、別注品には購入者が指定した完成寸法、ハトメ位置、生地、補強などが加わります。武田商会のトラックシート案内でも、サイズ・生地・色を選び、ハトメ変更や補強などの加工を相談できると示しています。[1]
架空のカタログには標準品S-30として「完成寸法3,000×5,000mm、周囲ハトメ500mm間隔」とあるとします。今回の見積に添えられた別注C-17の図面Rev.Bには「完成寸法3,200×5,100mm、指定した側のみハトメ600mm間隔」とあります。S-30のカタログ値をC-17の注文仕様にそのまま当てはめることはできません。 ただし、図面Rev.Bが本当に発注対象かどうかは、見積・発注書との対応を確認する必要があります。
| 確認する項目 | 架空のカタログ標準S-30 | 架空の別注図面C-17 Rev.B | その場の判断 |
|---|---|---|---|
| 対象品 | 標準品S-30 | 別注C-17 | 品番が違うので同一仕様と扱わない |
| 完成寸法 | 3,000×5,000mm | 3,200×5,100mm | 今回の発注書が指す図面を確認 |
| ハトメ | 周囲500mm間隔 | 指定側のみ600mm間隔 | 側・基準位置・個数を図面で確認 |
| 資料の役割 | 標準品の紹介 | 今回の注文仕様の候補 | 発注先の確認を得て採用版を確定 |
カタログの代表値を注文の保証値と読まない
寸法の相違と、物性値の相違は分けて扱います。広化東海プラスチックの不燃ターポリンのカタログには、掲載物性値が同社測定値で保証値ではないと明記されています。また、記載内容を改善のため変更する場合があると示しています。[2] これはそのカタログの注意書きであり、他社品の全数値の扱いを決めるものではありません。
架空C-17について、カタログに引張り強さの「参考値」が載っていても、注文で必要な最低値、試験方法、試験方向、対象ロットが未指定なら、その参考値をそのまま合格基準にしません。必要な性能がある場合は、要求値の種類、測定条件、判定方法、提出される資料を発注先と決めます。数値だけが同じでも、試験条件や「代表値/規格値」の意味が違えば比較できません。
架空C-17では相違点を行ごとに照会する
「カタログと仕様書が違う」と一括で送るより、相違する行を示した方が回答を得やすくなります。架空C-17では、寸法200mm・100mmの差、ハトメの対象辺と間隔の差、物性値の位置づけを別行にします。カタログの発行日、図面番号とRev、見積番号、発注書番号も併記します。
| 照会する相違 | こちらが持つ資料 | 発注先へ聞くこと |
|---|---|---|
| 完成寸法 | S-30カタログ3,000×5,000/C-17 Rev.B 3,200×5,100mm | 今回の納品対象はC-17 Rev.Bか。完成寸法の許容差は何か |
| ハトメ | 標準は周囲500mm/別注は指定側600mm | 「指定側」の向き、起点、個数と図面上の表示は確定か |
| 性能値 | カタログの参考値/注文側は判定条件未記入 | 必要性能と試験・判定資料をどこに記載するか |
| 資料の版 | カタログ発行日と図面Rev.B | 見積・注文へ適用する資料の版はどれか |
星野商店は、注文内容に沿って製作図面を作り、完成品の全体寸法やハトメ・オプションの位置を図面と突き合わせる工程を公開しています。[3] 架空C-17も、回答を受けたら図面と見積の相違を解消し、どの版を製作・受入れに使うかをそろえます。この例のRev.Bを無条件に優先するという意味ではありません。
図を拡大して見る。標準品の紹介値と、今回の別注注文で指定する値を分けます。
標準品へ戻すなら注文対象を統一する
確認の結果、架空の標準S-30で用途に足りると判断した場合は、C-17 Rev.Bの寸法やハトメ指定を注文書に残さず、標準S-30の品番・数量・適用カタログ版で見積を取り直します。逆にC-17を選ぶなら、S-30の標準寸法を注文欄へ混ぜません。どちらを買うかの決定と、どの資料を製作・受入れに使うかの決定を同じ注文記録に残します。
標準品もカタログの発行日や仕様変更の有無を確認します。カタログの更新日と手元の見積日が違うだけで、旧仕様の在庫か新仕様の製品かは分かりません。
見積・図面・発注書のつながりを残す
発注先から「C-17 Rev.Bを採用」と回答があっても、口頭だけでは次の担当者が追えません。見積番号、承認図面番号・改訂版、発注書番号を互いに参照させ、回答日と回答者を記録します。図面に寸法の測り方やハトメの基準位置が欠けている場合は補ってから承認します。
資料の日付が新しいだけで自動的に採用しないことも重要です。改訂版が別の案件用だったり、カタログ側だけが更新されたりする場合があります。今回の製品とロット、注文数量、納期に適用される版を発注先に明示してもらいます。
受入時も承認した版に照らす
届いた品の照合先は、発注時に確定した資料です。架空C-17なら、ラベル・納品書の品番、数量、完成寸法、指定側のハトメ位置など、承認図面に記載された確認項目を受入票へ移します。星野商店が公開するように、製品寸法やオプション位置を図面と突き合わせる考え方が参考になります。[3]
ただし、現物と図面の差を見つけた時点で、許容差や測定条件を確認せず直ちに不良と断定しません。該当箇所と測定方法を記録し、発注先へ照会します。性能の確認が必要なら、注文時に合意した試験成績書などの提出条件と対象ロットを確認します。
| 残す記録 | 架空C-17の記入例 | 未回答ならどうするか |
|---|---|---|
| 注文対象 | 別注C-17、数量10枚 | 標準S-30と混ぜず対象を確定 |
| 採用資料 | 承認図面C-17 Rev.B、見積Q-17 | 版の適用を発注先へ再照会 |
| 寸法・加工 | 3,200×5,100mm、指定側ハトメ600mm | 測定基準と許容差を確認 |
| 性能の扱い | 参考値は判定に使わない | 必要なら規格値・試験条件を別途合意 |
| 回答と受入 | 回答日・担当、納品書・受入記録 | 回答と現物照合が済むまで保留 |
図を拡大して見る。今回の注文に適用する資料を一つずつ確定します。
適用資料が未確定なら発注判断を保留する
カタログの標準S-30と別注C-17 Rev.Bのどちらで見積もられているか不明、性能値が参考なのか指定なのか不明、図面のハトメ基準辺が不明――この状態なら推測で発注・受入れを進めず、相違点の回答を求めます。 既製品で足りるか、別注が必要かは当社のシート類の案内も参照してください。
資材の仕入れ・調達の案内から相談内容を整理し、お問い合わせには商品・品番、カタログの該当ページ、仕様書・図面の版、見積番号、相違する行、使用条件と必要時期を添えてください。実際に適用する仕様や提出資料は案件ごとに確認します。
参考資料・出典
- 株式会社武田商会「トラックシート」:サイズ・生地・色とハトメ変更など、別注指定の項目例。確認日:2026年9月26日。架空S-30/C-17の仕様ではない。
- 広化東海プラスチック株式会社「不燃ターポリン カタログ」:掲載物性値が同社測定値で保証値ではないこと、記載内容変更の注意。確認日:2026年9月26日。架空C-17や当社品の性能を示さない。
- 株式会社星野商店「生地が製品に加工される過程」:注文に沿った図面作成と完成品の寸法・ハトメ位置を図面へ照合する工程例。確認日:2026年9月26日。架空C-17の検査基準ではない。






