手元の小さな生地サンプルと届いたシートを並べ、色や手触りが近ければ「注文どおり」と判断してよいでしょうか。サンプルだけでは、完成寸法やハトメ位置、見た目では分からない性能まで確かめられません。どのサンプルを、どの版の見積・製作図で承認したかを先に特定し、納品ラベルと完成品を項目別に照合するのが受入時の順番です。差が見つかったら、場所と数量を記録して回答を求めます。
サンプル・承認仕様・納品物の番号をつなぐ
最初に「サンプルで何を確認したか」を残します。生地の色と手触りを見た小片なのか、完成シートの掛け外しまで試した試作品なのかで、承認した範囲が違います。サンプルに品番・色名・受け取った日を付け、最終的な見積書、注文内容、製作図の版と結びます。変更があったなら、変更後の版と承認した日を使ってください。古い図面を基準にすると、正しい納品物まで相違と見誤ります。
生地、完成寸法、ハトメや補強の加工を分けて確認する項目はトラックシート商品ページにまとめています。納品時も「生地サンプルと似ているか」だけでなく、これらを承認した完成仕様と一つずつ比べます。画面の写真だけで色や厚みの検収基準を決めず、現物見本と承認済み仕様を基準にしてください。
| 照合するもの | 識別する情報 | 何を比べるか |
|---|---|---|
| 生地サンプル | 品番・色名、受領日、確認した範囲 | 素材の候補と外観。完成品の寸法や加工は含まない |
| 承認済みの仕様 | 最終見積・注文、製作図の版と日付 | 生地、完成寸法、固定穴・補強、数量 |
| 納品物 | 納品書・ラベル、現物、数量 | 表示された品番と実物の寸法・加工、状態 |
品番が同じでも、サンプルと納品物を取り違えないために、どの注文に対応するサンプルかを書きます。正式な注文仕様が残っていなければ、先に取引先へ最終版を確認し、記憶だけで合否を決めないようにします。
見た目・実測・資料で確認する項目を分ける
外観で分かるのは、生地の表裏、目立つ傷や汚れ、色の印象、ハトメや補強の有無などです。完成シートを広げられるなら、承認図と同じ測り方で外端から外端までの寸法と固定位置を確かめます。荷台の寸法と完成シートの寸法は別の値です。折り目や張り具合で測定値が変わり得るため、測った場所と状態も写真に残してください。
一方、生地の強さ、耐候性、必要な処理の有無などは、見た目の近さから判断できません。必要な性能が注文条件に入っているなら、今回納入された品番・仕様に対応する資料と、その資料がどの項目を示すかを確認します。生地の資料だけで完成品の加工部まで同じ性能と推定しないでください。
色も小片と大きな完成品では印象が変わります。平岡織染は膜材「ターポロン G-3000Ⅱ」の製品資料で、サンプルの色相が出荷時の現物と若干違う場合や、ロットによる色相・透光差に注意を促しています[1]。色差の扱いは製品ごとに異なるため、候補品番での条件を確認します。色が重要なら、承認時に比較方法と許容範囲を製作先と決め、その条件に照らして確認します。
サンプルの小片だけで完成品の加工や性能を証明する図ではありません。 図を拡大して見る
架空S-12:品番が同じでも、固定穴の数が違う
架空の注文S-12では、生地サンプルの番号をF-12とし、最終承認した製作図B版には完成寸法2,400×3,200mm、長辺の固定穴が各4点・計8点と記したとします。納品ラベルにもF-12があり、広げて測った外寸は2,400×3,200mm。しかし現物では、長辺の固定穴が各5点・計10点でした。F-12は説明用の番号で、実際の商品や当社の品番ではありません。
| S-12の項目 | 承認した条件 | 納品時の観察 | 次に確かめること |
|---|---|---|---|
| 生地番号 | サンプルF-12、図面B版 | ラベルF-12 | 現物と表示が同じ注文に対応するか |
| 完成寸法 | 2,400×3,200mm | 同じ測り方で2,400×3,200mm | 測定箇所・状態の記録を残す |
| 固定穴 | 長辺各4点、計8点 | 長辺各5点、計10点 | 位置写真と、承認済み変更の有無 |
| 性能資料 | 必要な項目を注文時に指定 | 外観だけでは確認できない | 今回の品番・仕様に対応する資料 |
この表では、8点と10点の差を先に記録します。ただし、穴が増えた理由、後から変更を承認したか、使用条件に影響するかは未確認です。外寸とラベルが合っているから差を消さず、逆に穴数だけで製作ミスや返品可否を断定しないでください。現物を使う前に、承認図と製作記録をもとに取引先へ回答を求めます。
S-12の寸法・番号・穴数は架空。差異の合否や対処を決める基準ではありません。 図を拡大して見る
相違は位置と数量を残し、回答を受けて処理する
納品直後なら、梱包表示、納品書、現物全体、相違箇所の近接写真を撮ります。固定穴なら、シートのどちらの長辺か、端からの位置、数を承認図と同じ向きで記入します。同じ注文の複数枚に差があれば、何枚を確認し何枚に見つけたかを分けます。試料と比較した色の差なら、光や撮影条件も添えて、写真だけで色差の合否を決めないようにします。
当社では、現行仕様と数量を伺い、商品・加工を確認します。相談の進め方は法人向け案内にもまとめています。お問い合わせには、最終見積・注文書・製作図の版、サンプル番号、納品ラベル、現物写真、異なる項目と数量、使い始める日を添えてください。確認中の品を現場へ回すかは、必要な被覆・固定条件を満たすか分かるまで担当者間で保留し、取引先の回答を受けて扱いを決めます。
参考資料・出典
- 平岡織染「ターポロン G-3000Ⅱ 製品資料」(2026年9月25日確認)。2ページの注意事項11・12にある、サンプルの色相とロットによる色相・透光差の注意を参照。






