
「シートの角だけが傷む」「ハトメの位置が合わず、掛け外しのたびに困る」。交換するなら、同じ寸法で作り直すだけでなく、加工の仕様も見直したいところです。
とはいえ、「ハトメを増やす」「厚く補強する」と決める前に、現物で何が起きているかを整理しておくと、製作先との相談が進めやすくなります。
押さえたいのは、穴の大きさ、穴の位置、傷む場所の3つ。この記事では、トラックシート・コンテナシートを新しく手配するときに、ハトメと補強について何を記録し、何を確認してから発注するかを解説します。傷んだ部分を見直したいときの、相談メモとしてもお使いください。
1.ハトメは「番号」だけでなく内径と相手の部材を確認する
ハトメは、シートの穴の周囲に取り付ける金具です。発注では、金具の外側の直径と、ロープなどを通す穴の内径を分けて確認します。写真で大きく見えることと、必要な部材を通せることは同じではありません。
岸工業のトラックシート案内では、ハトメの番号と内径を併記し、材質も区別しています。[1] 相談時も番号だけに頼らず、次の情報を組み合わせて伝えると行き違いを防ぎやすくなります。
| 確認するもの | 伝えたい情報 | まだ分からないとき |
|---|---|---|
| 現在のハトメ | 番号・材質・穴の内径。分かるものだけでよい | 購入時の仕様書や、寸法を確認できる現物の情報を用意する |
| 組み合わせる部材 | ロープ・ゴム・フックなどの種類、品番、寸法 | 使っている部材を変更する予定があるかも伝える |
| 困っていること | 通しにくい、位置が合わない、金具の周辺が裂けるなど | どの場面で困るかを一文で書く |
部材が穴を通るかどうかは、確認項目の一つです。それだけで固定部全体の適合や強度が決まるわけではありません。生地、周囲の仕上げ、金具の仕様、使う場面を合わせて製作先へ確認しましょう。
今のロープやフックを継続して使いたい場合は、その条件を先に伝えます。シートを発注した後で組み合わせる部材を変えると、当初の確認条件も変わるためです。
2.ピッチと「端からの位置」を分けて記録する
ハトメの配置で混同しやすいのが、穴同士の間隔と、シートの端から穴までの距離です。下の図では、ピッチは隣り合う穴の中心間の距離、端からの位置は完成したシートの端から穴の中心までの距離として示しています。
依頼図にも、この測り方を書き添えてください。「端から何mm」だけでは、穴の中心までなのか、金具の外側までなのかが伝わりません。

完成したシートの一辺を拡大した模式図です。穴の大きさ・数・間隔・端からの距離を推奨するものではありません。
また、「一定のピッチ」と「一つずつ指定した位置」は区別して相談します。萩原工業のオーダーシートには、ハトメピッチをおおよその間隔として扱う案内があります。[2] 既存設備の位置に合わせたい場合は、間隔だけを入力して希望どおりになると考えず、個別位置の指定が可能かを確認してください。
配置メモに書く4項目
- 向き: トラックなら前・後、コンテナなら扉側など、現物で識別できる方向を書く。
- 基準: 完成したシートのどの角・どの辺から測ったかを示す。表側から見た図か、裏側から見た図かも書く。
- 位置: 基準から各穴の中心までの距離と単位を記録する。四辺の配置が違うなら、辺ごとに分ける。
- 情報の状態: 旧品の実測値、変更したい希望、製作先に決めてもらう箇所を区別する。
固定具の位置と、平らに広げたシートのハトメ位置は、同じ測定対象ではありません。被せたときの形状も関わるので、固定具の間隔をそのままハトメの加工図へ写さず、両方の情報を渡して確認してもらいましょう。
旧シートを見本にする場合は、伸び・破れ・欠落のある位置も記録します。「古い穴に合わせる」のか、「いまの容器や車両に合わせ直す」のかを決めておくことが、仕様更新の出発点になります。
3.補強は名前よりも「どこが、どう傷むか」から相談する
周囲の仕上げ、角やハトメ周辺への当て布、帯状の加工など、シートには複数の加工があります。岸工業は周囲の折り返し部分に補強布・補強ロープを入れる仕様を案内し、武田商会は部分補強や帯加工などを紹介しています。[1][3]
ただし、「帯を付けたい」という言葉だけでは、擦れる場所を保護したいのか、シートを押さえるための加工が欲しいのかが分かりません。呼び方を覚えるより、場所と目的をセットで伝えるほうが、必要な相談につながります。
| 相談したい場所・目的 | 現物で記録すること | 製作先へ確認すること |
|---|---|---|
| 周囲の仕上げを見直したい | 今の折り返し、ロープ等の有無、傷んでいる辺 | 候補生地に合う周囲加工と、その加工が寸法へ与える影響 |
| 角やハトメ周辺の傷みが気になる | 穴の周囲か、縫い目か、角そのものか。位置と範囲 | 部分補強の可否、範囲、表裏、他の加工との関係 |
| 帯状に擦れる場所がある | 当たる部材と擦れた帯の位置、幅・長さの目安 | その位置への加工が適切か、形状や接触条件の見直しも必要か |
| 押さえるための追加加工を考えたい | どの場所を、何のために押さえたいか | 擦れ対策の補強と区別し、用途に合う加工を確認する |
繰り返し同じところが傷む場合でも、見た目だけで原因を決めつけず、接触している部材やシートの収まりも一緒に伝えます。補強を増やすだけでは改善しない場合もあります。傷みの原因に合う加工かどうかを、製作先と一緒に確かめましょう。
候補の加工が決まったら、完成品の重さや畳みやすさ、既存の巻取り設備などへの適合も確認しましょう。傷みへの対応と、日々の扱いやすさを一緒に検討できます。
4.写真と位置図に同じ番号を付けると伝わりやすい
「右の角が傷む」という説明は、見る向きによって右側が変わります。全体が分かる写真、傷んだ場所の近接写真、位置を書いた簡単な図に、同じ番号を付けておくと便利です。
図には前後と表裏を明記し、まず現在の傷みを記録します。そこから離して、「こう変えたい」という要望を書きましょう。傷んだ範囲と、補強したい範囲を分けて書くと、製作先にも意図が伝わります。

現状・希望・製作先の回答を分けて記録します。
以下は相談メモの架空の記入例です。ご自身のシートに合わせて書き換えてみてください。
| 位置番号 | 現状として伝えること | 希望として伝えること | 製作回答で確かめること |
|---|---|---|---|
| A:後ろ側の角 | ハトメ付近の生地に裂け。全体写真と近接写真にAと記載 | 同じ場所の傷みを見直したい | 金具・位置・補強範囲をどうするか。接触条件の確認が必要か |
| B:左辺の中央付近 | 現行の部材を通しにくい。部材の品番は確認中 | 部材を継続使用できる候補を相談したい | ハトメの内径・材質・位置と、部材との適合 |
| C:中央の擦れ跡 | 帯状の擦れがある。接触する部材と位置を別紙に記録 | 生地と加工の両方から検討したい | 加工する場合の位置・幅・長さ・表裏。追加重量や設備への影響 |
写真や図の送り方は、相談先の案内に従ってください。すべての寸法がそろわなくても、「どの情報が未確認か」が分かれば、次に確認する項目を整理できます。
5.発注前に、回答図と見積もりを一組で見比べる
製作先から回答を受け取ったら、金額だけでなく、どの加工条件での見積もりかを確認します。特に、打ち合わせ途中で変えた位置や補強範囲が、最終の図面に反映されているかを見ておきましょう。
- 生地・完成寸法・前後・表裏が、依頼内容と一致しているか。
- ハトメの内径・材質・個数・位置と、概略ピッチか個別位置指定かが明確か。
- 補強の目的・箇所・範囲・加工方法について回答を得ているか。
- 加工費・付属品・送料・納期の条件に、変更が反映されているか。
変更した図には日付や版番号を付け、発注時にどの図を使うか明示します。再注文を見据えるなら、最終図・生地品番・加工内容・対象車両や容器の管理番号を一緒に残しておくと、次の確認に使えます。
外形の測定から整理したい場合は、トラックシートの採寸方法とコンテナシートの採寸と注文方法をご覧ください。加工条件をそろえた費用比較は、オーダー価格と見積もりの比べ方で紹介しています。
ハトメ・補強の仕様をご相談ください
産廃資材問屋さんでは、用途・仕様・数量に応じた資材選びのご相談を受け付けています。
いま使っているシートの種類、組み合わせる部材、傷む場所や困っている点、寸法・枚数の目安をお知らせください。「加工名は分からないけれど、この部分を見直したい」という段階でもご相談いただけます。
現在の仕様と変更したい点を分けて、現場に合う発注条件を整理しましょう。
参考資料・出典
[1]岸工業「トラックシート」。ハトメの番号・内径・材質、周囲折り返しの補強布・補強ロープ、および加工分類を参照。確認日:2026年9月22日。
[2]萩原工業公式オンラインショップ「ターポリントラックシート(オーダーメイドシート)」。ハトメピッチをおおよその間隔として扱う注意書きを参照。確認日:2026年9月22日。
[3]武田商会「オーダーメイドトラックシート・幌」。ハトメ変更、部分補強、帯加工などの加工案内を参照。確認日:2026年9月22日。



